始まりの物語(本編2/4)
それ以来、寝る前に今夜の寝室のオーブの数や色を訪ねるのが日課のようになっていた。
病気の告知ひと月前、いつものようにオーブの話をしていたらその日に限って、オーブとコンタクトを取れるかやってみようということになった。
幾つかのトライアルの方法を娘に提案し、娘はやってみた。しかし能力者というのはすごいものだ。私がいくらやっても何もないのに、娘はやったこともないのにも関わらず、いとも簡単に周波数?を合わせた。光の玉に、”コンタクトを取りたいからイエスなら点滅してくれ”と方法を示したら答えてきた。
それからのひと月は、おきつによるまさに狐の化かしあいのお話。この時の詳細はまたの機会に譲る。
そんな訳でおきつは観音様やマリア様、思いついた限りの聖人や歴史上の偉人になりすまし、色々ないたずらを仕掛けてきた。はっきりと姿を現したこともあったらしい。
一月後のある夜、どうも不審に思った私は、”本当はキツネでしょう”とつきつけた。”ばれた、ばれた”の大合唱。やっぱりね、と納得し、呆れていた私の横で、娘が突然泣き出した。娘は心底信じていたらしい。(娘には実体として見えていたのだから当然といえば当然か)それでもまだ違和感を覚えていた私は、”本当は一人でしょう。”と言い当てた。またまた”ばれた、ばれた”の大合唱。といっても大合唱が聞こえているのは娘にだけだけれど。
こうして初めておきつが私たちの前に本当の意味で姿を現した。よくよく話を聞いてみると、遡ること4,5年位前に親戚のすたれてしまった本家の大片付けに1年がかり位で乗り出し、結局住んでる住人には内緒でご縁のあった青森の神社様に頼んでお祓いまでしてもらったことがあったのだが、その時祓れた祟っていたものにこのきつねは使われていて、初めて娘が見たオーブの正体でもあったらしい。この辺りの事もかなりエキセントリックだが詳細はまた別の機会に。しかし全く人生は色々な伏線があってややこしいけど面白い!?
それ以来、実は近くにいたらしいのだが、こちらが(娘が)意識していなかったから気が付かなかったのだ。
昔の事は一切覚えていない様で、祟っていた者に使われる前は記憶が無いらしいが、これまでにも人間には何度もお祓いされたのだという。