始まりの物語(本編3/4)
私は考えてしまった。私たちは狐が化けて嘘八百並べられても被害らしいものは何もなかったが、本当に真に受けて、それこそ財産を失くしたり、ひどいときには、様々な犯罪に手を染めてしまったケースも過去にはあったのだろうと想像する。だが、考えてみると、こういったケースで本当に狐だけが悪いのか?他力本願になった人間は悪くなかったのか?また、たまたま私たち母子は実害が無かったが、心の弱いときであれば結果は違っていたかもしれない。何も起こらなかったことに感謝である。
そしてきつね。なんだか哀れに思えた。きっとこの迷い狐はさみしいのではないのか?だから人間がうれしがることを言っているうちに嘘を塗り重ねて、取り返しのつかないことに毎回陥ってしまったのではないのか。祓うのは簡単だが果たしてそれで本当に良いのか。。。それではこれまでと何も変わらない。
私は提案した。もう嘘を付かないと約束するならこのうちに居ても良いよと。うちの子になっても良いと。
さみしいならうちにいなさい。その代わり悪さをしてはいけないよ。私たちもきつねに何かお願いをすることはないけれど、できない、わからないことは正直に言いなさい。できなくてもわからなくてもうちの子でいて良いのだからと。
きつねは約束すると飛びついた。娘も喜んだ。私は。。正直に言うと不安が無かったわけではない。相手が相手で見えないのだから。この時改めて私は自分に厳しくならなければと心に誓った。この子が全うできるかできないかは私にかかっているのだから。
そうこうするうち友人だとリスを連れてきた。この子も受け入れて欲しいと。良か良かと一人くらい増えてもと受け入れた。翌日虎を連れてきた。女の子だという。次はさる。やはり女の子。そしてクマ、今度は男の子。だんだん心配になってきた。どこまで増えるのだろう。正直私には見えないからそんなに影響がない。しかし娘は。。。キャパを超えないのだろうか。
昔からの友人の能力者(笑える?けどコンピューター関係の仕事についている。結構分野は問わないものらしい。かもねと私は納得。)に思い余って相談した。大丈夫との回答。実際、これ以降こういう形で兄弟が増えることは無かった(今のところだが)。これで打ち止めか。と思いきや娘が1歳の時に買い替えた車のシエンタに実は魂が入っていたらしい。いつの間にかこの団体に加入?している。
そんな時伊東温泉旅館に私の術後の療養を兼ねて下田に行く 途 中に一泊した。そこで出会ったのが温泉の木枠の精だ。表からはわからない我家の賑やかぶりに惹かれて部屋に遊びに来た。何だかとっても兄弟たちと仲良くしている様子を覗って、私はもうどうにでもなれと、この子(女の子だという)にも誘いをかけた。”喜んで”の二つ返事で娘に加わった。
最後が万年青。これは昨年都内に引っ越してくる前にホ ームセンターで購入した万年青の精だ。どの子にするか 娘がのに、全く持ってこの子もどの子も娘と行動を共に して皆家を留守にして娘と学校に通っている。何かなぁ とちょっぴり思っている私は気持ちが狭いか。。。
こうやって現在の人数朱里を入れて9人に増えた。クマが入ったタイミングで子どもたちの名前を決めた。
最終的には、上から、おきつ、おりす、おとら、おさるぴ(通称おちゃるぴぃ)、おくま、きいちゃん、おもちゃん、シエンタ(何故か実は朱里の次なのに一番下にカウント)。